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2025.02.16.wed. 都内某所
A MACHINEの展示会。アパレルが使う会場など明らかになさそうなマンションの駐車場。地下に潜って進んでいくとそこには似つかわしくない大きなスペースが広がっていた。
エントランスから入ると開口一番いつも通りの彼らの皮肉を浴びた。雰囲気のある画像を集め、それらしく仕上げたムードボード、そこにはピンタレストという文字が示されている。椅子が反対に向けられたファッションショー会場を模した通路。10年後のSSAW暦が示された量販品の機能性Tシャツ。昭和のブティックで使われていたような子供のマネキンに着せられる事でオーバーサイズに見えるプルオーバーニット。この上なく意地悪でありながら、センス良くレイアウトされただだ広い空間。
そこにある穴の空いたニットや異形のピーコートは何かを否定しているようには見えず、むしろ肯定も否定もせず新しい視点を提供しようとしているように感じる。その何かは掴めそうに思えるが、確かな輪郭では掴めない。
曖昧な表現で濁す事を避けていた彼らが今回は意図的に少しだけボカしているように感じた。
2025.02.17.thu. VODKA connecting people
大阪に帰ってきた。お店に戻ると常連のお客さんからは次のA MACHINE どうでしたか?といつものように聞かれる。
洋服に対しての説明は出来ても、テーマを分かりやすく伝えるのが非常に困難だった。ここ数シーズンは服が無くても言葉だけでも充分面白く伝えられていた気がする。その後ウォッカは閉業した。
2025.08. 27.wed. HB
一回目のA MACHINE の納品があった。展示会の時にはまだ無かった特製の巨大値札が付いていた。
アイラブファッションと書かれた茶目っ気のある大きな下げ札には本当にファッションが好きなのにも関わらず、皮肉めいた形でしかその輪郭に触れる事が出来ない彼らの独特の姿勢、自身に対してにも向ける批評的な態度と眼差しを感じ取る事が出来た。だから、否定的な態度は何処かの誰かを傷つける為のモノではなく、ファッションへの歪んだ愛情表現の一つであると受け取る事にした。
それでもまだ上手く咀嚼出来ていない。まだ店は再開していない。急がないと。
2025.09.25. thu. 都内某所
東京出張。A MACHINE の展示の最終日に合わせて向かった。展示会場とは思えぬチープな外観の中に入るとリハビリセンターのような消毒液が似合うようなツルツルとした床や階段が待っていた。
ダンススタジオだったのだろう、一面ガラス張りの会場は広くて無機質でいながら何処か誰かの知らない人の匂いがしてしまう個人的にとても好きなチョイスだった。
その空間にも洋服にも一般的なメンズデザイナーズファッションに求められるようなオーセンティシティ(確からしさ)は無く、並べられた洋服もまた複雑な世界をなるべくそのまま表面的に捉え模写するかのごとく仕上げる事に徹した作りになっているように感じた。
2025.09.27.sat. HB
不在のため受け取れなかったA MACHINE の2回目のデリバリーを受け取り洋服の検品を行なった。展示会から咀嚼しきれていなかった本シーズンについて書き溜めたノートを片手にダイアリーを書き始める。
全く纏まらず、時系列毎にどのように感じたかを整理してみることにしてみた。次のテーマや過去のシーズンまでも含めて考えられるようになり、少しずつ腑に落ち始めてタイピングが進み始めた。
それでもまだダイアリーは完成しない。明日の遅くにはなんとか出せるだろうか?